『考史。今つーちゃん色んな事で一杯。それにつーちゃんのせいでも、その天條さんのせいでもないでしょう』

『けど、』

『どうしようもないよ。何がキッカケになるかなんて親しい人でも分からない』


 キッカケ?なんだ?意味が分からんぞ。


 キョトンしている私にルイ君は、私の両手を包帯の巻かれた指に力を入れない様に握る。


『つーちゃん本当にどうしようもなくなったら、頼れる所にはちゃんと頼るんだよ』

『う、うん…』

『僕や考史じゃあ頼りにならないかもしれないけど、あの渚さんとかつーちゃんに似て優しいし、頼りになりそうだから最悪頼っちゃいな』

『渚君?』


 確かに渚君には、


『安心して逃げて来い、何が起きてもどうにかしたる』

 
 そう言って貰った。

 短い付き合いの中でルイ君が渚君をそう評価するって事は、流石ルイ君の野生の勘?それとも渚君の人徳?なのか…取り敢えず頷いておくとヨシヨシと私の頭を撫でてくれたルイ君。

 その後も、


『綴はそもそも』

『ずみません…!』

『まあまあ考史』


 やらかす子供に対して考史パパが怒ってルイ君ママが宥めると言った図となり、年下コンビに嗜められる年上お姉さんの私は、姉の威厳はもう塵となって消えていた。(元々そんななかったけれど)

 忙しいお母さん達には何卒黙って頂きたく…!と言って、今度家に帰ったら1年考史の好きなアイスBOXを買う事になった。