過つは彼の性、許すは我の心 参



 出来るだけ笑顔で…言えてたかな。


「お邪魔して申し訳ありません」
  

 周囲の見ていた人達にそれだけ言って、今度こそ踵を返す。

 よし頑張った、私頑張ったぞ…!

 取り敢えずミッションコンプリートと思ったのも束の間、グッと手首を握られてそのままーーー…。


「あ」


 抱き締められる。

 私の好きな甘い匂い。

 
「ーーーただいま」


 さっきまで人の悪意のある視線が怖かったのに、一瞬で掻き消えてしまった。

…あ、そうだ。


「私土いじりしたから汚いよ」


 そう見上げて言えば、


「別に構わない。綴なら」


 おじさんやリタ達を相手にしていた険しい顔は何処かへ、言葉も顔も甘く優しいモノに早変わりして一気に顔が熱くなる。

 俯きたいけれど獅帥君が私の顎に指先を当てて強引に上げられる。


「顔赤いな」

「…っそれは獅帥君が、」


 分かっている癖に。

 こう言う時の獅帥君は意地悪だ。

 分かっていないフリして分かっている。

 これは厳重に抗議せねば…!と頬を膨らませて抗議しようとしたら、


「ーーー獅帥様」


 自分と獅帥君以外の人が居る事を忘れていた事に気付いた。


「何だ」


 獅帥君は私を抱き締めながら、おじさん達と天女目家の人達と相対する。またあの視線に晒されるのかと思っていれば、ギュウと抱き込まれて見えなくなった。