出来るだけ笑顔で…言えてたかな。
「お邪魔して申し訳ありません」
周囲の見ていた人達にそれだけ言って、今度こそ踵を返す。
よし頑張った、私頑張ったぞ…!
取り敢えずミッションコンプリートと思ったのも束の間、グッと手首を握られてそのままーーー…。
「あ」
抱き締められる。
私の好きな甘い匂い。
「ーーーただいま」
さっきまで人の悪意のある視線が怖かったのに、一瞬で掻き消えてしまった。
…あ、そうだ。
「私土いじりしたから汚いよ」
そう見上げて言えば、
「別に構わない。綴なら」
おじさんやリタ達を相手にしていた険しい顔は何処かへ、言葉も顔も甘く優しいモノに早変わりして一気に顔が熱くなる。
俯きたいけれど獅帥君が私の顎に指先を当てて強引に上げられる。
「顔赤いな」
「…っそれは獅帥君が、」
分かっている癖に。
こう言う時の獅帥君は意地悪だ。
分かっていないフリして分かっている。
これは厳重に抗議せねば…!と頬を膨らませて抗議しようとしたら、
「ーーー獅帥様」
自分と獅帥君以外の人が居る事を忘れていた事に気付いた。
「何だ」
獅帥君は私を抱き締めながら、おじさん達と天女目家の人達と相対する。またあの視線に晒されるのかと思っていれば、ギュウと抱き込まれて見えなくなった。



