腕を顔から引き剥がす。
「未来さえあれば」
見えた先の顔は笑っていてーーー…。
「それに俺、嬉しかったんだ」
また訳の分からない事を言った。
「俺の為に八重は殺したんだろう?」
「大きな意味では、そうだけど、」
「なら良い。でも」
ずいっと顔が近付く。
笑顔の無い真面目な顔。
息を呑む。
「今後俺以外の為に殺した時はーーー許さない」
匡獅の言葉は身体中がビリビリと震えて、魂にも響いている様に感じた。
「俺はお前のそう言う部分も愛すよ。だって俺の八重だから」
匡獅にまた抱き締められて涙が出て来そうになった。
他者に肯定される事なんて永遠にないと思っていたから。
「八重も俺の良い所も悪い所も愛して」
「…愛す?」
僕には縁も遠い言葉だ。
「俺は優しい。だから八重のやり方に合わせてあげる」
摺り寄せた体温は確かに優しい。
「愛し合えば何も怖くない、無敵だ」
「うん…」
僕もその背に腕を回す。
この時とある事を誓った。
「俺達は2人で1つだ」
匡獅の言葉にうんうん頷く。
ーーー確かに匡獅は言った通り僕を愛してくれた。
こんな僕を受け入れてくれたのに、僕は…。
そしてあれだけ誓った自分への約束。
匡獅だけは絶対に傷付けない。
僕は守る事が出来なかった。



