過つは彼の性、許すは我の心 参



 腕を顔から引き剥がす。


「未来さえあれば」


 見えた先の顔は笑っていてーーー…。


「それに俺、嬉しかったんだ」


 また訳の分からない事を言った。


「俺の為に八重は殺したんだろう?」

「大きな意味では、そうだけど、」

「なら良い。でも」


 ずいっと顔が近付く。

 笑顔の無い真面目な顔。

 息を呑む。


「今後俺以外の為に殺した時はーーー許さない」


 匡獅の言葉は身体中がビリビリと震えて、魂にも響いている様に感じた。

 
「俺はお前のそう言う部分も愛すよ。だって俺の八重だから」


 匡獅にまた抱き締められて涙が出て来そうになった。

 他者に肯定される事なんて永遠にないと思っていたから。

 
「八重も俺の良い所も悪い所も愛して」

「…愛す?」


 僕には縁も遠い言葉だ。


「俺は優しい。だから八重のやり方に合わせてあげる」


 摺り寄せた体温は確かに優しい。


「愛し合えば何も怖くない、無敵だ」

「うん…」


 僕もその背に腕を回す。

 この時とある事を誓った。


「俺達は2人で1つだ」


 匡獅の言葉にうんうん頷く。


ーーー確かに匡獅は言った通り僕を愛してくれた。

 こんな僕を受け入れてくれたのに、僕は…。

 そしてあれだけ誓った自分への約束。


 匡獅だけは絶対に傷付けない。


 僕は守る事が出来なかった。