「だって俺から八重を奪うなんて、不敬にも程があるだろう?」
笑った。
邪気1つなく、人を殺した犯罪者の前で匡獅は。
「お前が、」
「ん?」
「そう言うって事は」
「ああだから死んだよ、娘もその両親も」
「っ…」
事もな気にそう言ったのだ。
信じられなかった。
ーーー前に天女目の女から聞かされた教えがある。
オオミカは不自然な程の幸福を周囲に与えると言われている反面、反感を買えば不幸を齎す事があると。
祝福が周囲の気を使った結果か、はたまたは超常的な何かが本当に働いた結果なのだとすればその逆も然り。
オオミカに目を付けられられた者を、受け入れる者等いない。親族であろうと見放され、仕事や友人関係も遠退き、社会的に孤立し、精神を蝕まれ、最終的に自死を選ぶ事が多い、と。
例え同じ様にならなくても不幸に見舞われ、決してその後の未来が明るいとは言えない状況となるとも言っていた。(だからオオミカは妄りに言葉を発してはならないなんて子供染みた決まりがある)
今回の娘が、その両親が、どう死んだのかは分からないが そう言う事なのだろう。
全てはオオミカの御心のままに。
この国でも大きく根を張る一族の歪み。
「匡獅」
「ん?」
僕は匡獅の両肩を掴む。
「匡獅。そんな簡単に言ってはいけない」



