忘れたのか?そう首を子供らしく傾げる姿に背筋が凍り付く。
「え、あ…」
「どうしたんだ八重?」
硬直するしかない。もしかして見られたのか、いや普通に誰が殺したか考えれば、此処に主に住んでいるのは匡獅と僕の2人だけ。証拠が残っていたのか、駄目だ頭が回らない。
「辛そうだ、具合が悪いのか?」
本気で僕を心配している様な匡獅。
「…僕を、」
「ん?」
「どうする気なんだ」
絞り出した言葉に目をまたかせる匡獅。
怖い匡獅が何を考えているのか分からない。
僕の怯えた姿にやがてああ…と言って、大きく吹き出す。
「ぷっハハハ!八重怯えるなって!俺が警察なんかに突き出すと思ったのか?」
肩口に顔を寄せて「可笑しな八重だ!」と抱き締める匡獅。いや、待ってくれ。
「普通は警察に突き出すものだろう」
「ふーんそう言う事している自覚はあったのか」
「…」
じゃなければ証拠を残さない方法は取らない。
「ーーーこの間俺呼び出されただろう本館に。武凱と顔役達がいる前で、被害者の女の家族と春日が出て来てな。その件について問われた」
「…それで?」
まさか僕の事を話したのかと思ったが。
「何だか八重から俺を引き離す話になったから、死ねって言った」
思いもしない展開に目を丸くしていれば、匡獅が顔を上げてーーー。



