過つは彼の性、許すは我の心 参



「オオミカ様!」

「お待ちなさい」


 天女目春日に止められた夫婦であろう2人組の内、男の方が来て早々俺に土下座をし始め、女はそこで佇みしくしくと泣き始めた。


「で、話って?」


 土下座した男を無視して、天女目春日に問い掛ける。


「ーーー考え直して欲しいのです」

「考えて直して欲しい?」


 いち早く反応したのは土下座して居る男で、ガバッと身体を起こす。

 そして、


「あの不吉な一族の出の八重と言う子供を匡獅様から引き離して欲しいのです!」


 大きな声でそう言った。

 騒めく顔役達を尻目に俺は「へえ…」と声を漏らすと、天女目春日が一歩前に出て演説し始める。


「私としては、掟を再度見直すべきだと思っております。掟を破って養育中のオオミカ様の傍に人を侍らすなどはあってはならない…きっとこれはオオミカ様の先祖である神の御意志でしょう。立て続けに人が死ぬ事がその証拠」

「それは…」

「いやでも前例が…」


 柳の下の幽鬼の様でいて、託宣を告げる巫女の様な佇まいの天女目春日のご高説に顔役達も圧倒されている様だった。


「オオミカ様!娘は昨夜オオミカ様がお住まいの場所で運悪く(・・・)階段で足を滑らせて、落下した先の壺で頭を割って危篤の状況です!神の御意志で背いて人の死が連鎖していると言うのなら元に戻すべき!そしたら娘は…!」

「うっうっ…!」