「どうし、」
「如何してって…貴方は匡獅を害そうとしたじゃないですか」
八重の言葉に女は心当たりがあったが「ちが、う!わたし、は!」と続ける。
しかし、
「命令されたって?倫理に反していると分かっていながらアンタらは平気で食い物にしようとするのか…反吐が出る」
「っ…」
ぐわんぐわんと揺れる壺に、痛み以上に心拍数が上がる。
「皆んな本当に同じ事を言う。誰かを害す事を命令された、仕方なくって」
皆んな。
その単語に漸く女が違和感を持ちーーー真実に辿り着く。
「あな、貴方は」
「ああやっと気付いた。もう遅いけど」
今まで夜分に尋ね来ていた者は全員この。
「じゃあ、さようなら」
階段を昇る音が聞こえて声を張り上げようとした直後、壺はバランスを崩した。
「ーーー永遠にお休みなさい」
それが女の最期に聞いた言葉だった。



