ナオに告白しなかったのは私で、ナオが告白されて円嘉と付き合うのだって自然な流れで誰も悪くない。ただ円嘉に私が傷付くのを分かっていた上で、見せ付ける様にナオと接していたと言われて、許せる程その時の私は大人になれなかった。
『どうして』
『え?』
振り向くのと同時に肩に衝撃が走った。
「どうせ俺が円嘉に必死に戻って来いって説得していた時に嗤ってたんだろう!?」
「ち、違う!」
現実と円嘉がリンクする。
跡が付きそうなぐらい両肩をナオに握られて咄嗟にもがくが、キツく握り締められてその場に固定される。
ナオの目に宿る狂気が、私を覆い尽くそうとする。
あの時との違いは、私が椅子か座布団に座っているかどうかぐらいで、全く一緒だった。
『何すんの円嘉!痛いちょっと!』
『絶対に許さない!綴の癖に!』
『子供じゃ無いんだから!』
『私はアンタの何なのよ!』
『何なのって知らないよ!』
『私はいつまでアンタの…!』
「円嘉はお前見ていたのに!お前は無視した!」
腕を突っ張ってナオを引き剥がそうとするが、痩せているのに力は強く、女の腕力でも敵わないので上手く行かない。
揉み合いながら、
「円嘉の方が私を切り捨てた!」
「お前に受け入れて欲しかったんだよ円嘉は!それをお前が!」
私だけを責めるナオにカチンと来た。



