過つは彼の性、許すは我の心 参



 円嘉達と距離を置き始めてから出来た友人だった為、把握していなかったんだろう。

 黙っておく必要もないから、素直に友人の名前を伝えれば『知らない…』と呟く円香。でしょうね。


『それに明日その子とその子の友達と遊びに行くって話にもなっているから、早く寝て備えたいし』

『…それは?』


 円嘉が震える指先で示したのは、高校のパンフレット各種。それも地元以外のもので。

 
『高校の。早いけどこの地元以外の学校で考えようかなーって』

『なん、で?』


 さっきから質問ばっかだな。


『…最近話す様になったクラスメイトが外の高校考えているって言ってて、話聞いていたら興味出て来てさ。お母さん達もいいんじゃないって』
 

 人付き合いを何となくセーブしていたが、最近円嘉とナオと一緒に居るのが辛かった私は、断っていた他の友人からの遊びの誘いも受ける様になり、あっという間に鬱屈とした気持ちが晴れていった。(こう言う時って1人で考えるのやっぱり良くないよねと改めて思った)


『…』

『円嘉も訳分からなくなっているんでしょう?お互い冷静になってからまた話そう』


 答える事は答えたし、私はそう言ってくるりと背を向けてノートに向かった。

ーーー冷静は冷静でも多少の苛つきはあったのかもしれない。