大抵僕と匡獅が喧嘩するといつも仲を取りを持とうとしてくれていた。だからは武凱の事は嫌いじゃなかった。


「外まで喧嘩している声が聞こえていたぞ、今度は何が原因なん、」


 言い掛けた武凱が僕の後ろを見て、顔を真っ青にする。


「どうし、っ…!」


 背筋がゾクリとして身体が硬直する。

 気付けば首に腕が巻き付けられて、背後に引き寄せられた。


「ーーー此処に俺が良いと言うまで誰も近づけるな」


 武凱にだけそう言った匡獅は、私室の扉を閉じた。

 作業していた机を通り過ぎて向かったのはーーー天蓋付きベッドで。

 
「匡獅!」

「…」


 引きづられて足が持つ反れそうになっているのも気にせず、ベットに僕を放り投げた。


「っ…匡獅よせ、こんなの」


 ベッドへと乗り上げた匡獅は僕に馬乗りになり、抵抗する腕を上で一纏めにする。


「やめろ、匡獅っ…!」


 指先が僕の首元を辿り、上からボタンを外される。

 暗がりのカーテンで匡獅の顔が薄暗くてよく見えない。

 匡獅じゃない別の誰かが僕に触れている様な気がして、不快感が身体中を駆け巡る。

 
「お前が言ったんだろう。俺の愛は偽物だと」

「そんな事ない!僕は、」


 そこで漸く匡獅の逆鱗に触れた事に気付いたが、気付いた時にはもう遅かった。

 滑り込む指先が僕の曝け出された秘密を、抉り出そうとする。