獅帥君のバカバカ!もう知らない!!
F1カーでも足に宿っているんじゃないかと言う速さで、薄暗い田んぼ道を通過する。
今は獅帥君の事は後だ後。
「はあーっ…!」
膝に手を付いて息を整える。見慣れてしまった古めかしい家に辿り着いた。
呼び鈴を押すと、軽快なピンポーンと言う音が響く。
鍵が外れて、扉が横に引かれた。
その瞬間ーーー酷い頭痛と怖気が走る。
「…綴。来たんだな」
「う、うん」
ナオ…なんだけれど、違和感が。
顔も身体も痩せこけていて、目は何日も寝ていない人の様に目がグリグリと冴えていてーーー…何だか。
「上がれよ」
「…お邪魔しまーす」
違和感を考える前、痛烈な刺激臭が鼻に届く。
「あのナオこの臭い…」
思わず鼻を押さえれば、ナオは振り返らずに。
「ああ叔父さん。最近疲れた何だって言って風呂にも入りたがらねえの」
「でもこの臭い…」
お風呂に数日入らなかっただけでこんな臭いになるものなの?
その叔父さんが居ると言う閉められた戸の横を平然と通り過ぎるナオに続く。
そう言えばゴミまで散らかっている。
廊下や扉の前にゴミ袋や雑誌の山とか、その下から虫や何かの汁が滲み出ていて見るだけでも不快感が増して目を逸らす。
ナオは此処の家事全般やっていると言ってたし、そもそもナオは綺麗好きなのに。



