過つは彼の性、許すは我の心 参



 私の言葉を聞いた獅帥君は私に、


「惣倉喜影に好き放題されていても誰にも話せなかったのに?」


 と言って鼻で嗤った。


「それはっ…!」


 元を正せば妃帥ちゃんが狙われると思って。


「妃帥を理由にするなよ」

「…っ」


 確かに思い込んだ私も悪いけれど、何で急に獅帥君がこんな意地悪をし始めたのか分からないし、見下ろされている眼差しの冷たさも、長袖の服の上にデニム生地の上着を着ているのにも関わらず、背筋がヒヤリとして恐怖を煽られる。

 なんか…理不尽だ。

 そう思えば目の前がボヤけ始める。

 すると獅帥君の目が大きく見開かれて、


「どうして、泣いているんだ?」


 と自分が泣かせた癖にそんな事を言った。

 何時もならもうー!獅帥君そんな言い方したら皆んな怖がっちゃうよ!とか言ったりするけれど、今はとてもじゃないけれど言える気持ちになれなかった。


「つづーー…」


 私の頬から手が外れ、よく私の顔を見る為に上を向かせられそうになった所で、


「っ!」

「獅帥君のバーカ!!」


 ゴーン!とそのシュッとした顎に自分の頭をクリーンヒットさせた。

 よろめいた隙に私は扉を開けて部屋を飛び出す。

 階段も凄い勢いで降りて、玄関へと手を掛ける。

 そこで、


「綴!」