過つは彼の性、許すは我の心 参

 

 今や姉弟バランスは弟に軍牌が上がり、実質考史お兄ちゃんは「綴、家戻るならお隣さんに声掛けておいてくれよ。俺も一時的に帰って来ただけだから、もう出ないと」と言って荷物を持つ。

 我が家は長期で家を空ける事が多いので(孝史は行きたかった学校が遠かったので親戚宅に住まわせてもらっていて時々家に帰って来ていた)風通しの為にご近所さんが定期的に我が家に来てくれている。休みの間は居るつもりだから声掛けておかないとね。

 でもまあ…それにしても。


「今から行くの?」

「ああ。母さん達が送れないから、俺と同じ様にメンバーに選ばれた奴の家に一泊させて貰って、そっから一緒に連れてって貰うんだよ」

「そうなんだ、強行軍なんだね」

「本当に突然だったからなあ…俺と同じく枠増設で入ったダチは喜んでたけど」


 ボヤいた考史は「ルイも興味の合った海外のガッツリ芝居やっている劇団から、偶々ツテ伝いに声掛かって勉強がてら少しの間関わらせて貰うって言ってたし。綴以外妙に幸運に恵まれてるよなウチ」と言った。


「へ!ルイ君も?」

「そう。ルイも突然決まったから綴に連絡出来てねえんだろう」

「そうなんだ…まあ私もある意味幸運よ。妃帥ちゃんと長く一緒に居れる時間が増えるんだもん」