過つは彼の性、許すは我の心 参



「ねえお兄様」


 俺が口を開きかけた瞬間、妃帥が止める様に俺を呼ぶ。


「お兄様はミケを作る気はないんでしょう?知っているわ約束だもんね」

「約束?」


 土師凌久の疑問に俺も妃帥も答えなかったが、俺は妃帥が知っていた事に驚く。


「聞いていたのよ私」

「そうか…」


 痩せ細って気が狂った母と幼き俺の約束。

 あの時お前も居たんだな妃帥。

 じゃあ何故と思う。

 妃帥は、


「だからね、ミケは私がつくろうと思ったの」


 何故ミケをつくったんだ。

 全てを無くしたあの日から妃帥の考えが時々読めなくなる。

 何よりも大事なのに。


「ふふははは…!妃帥さん面白ーい」


 顔を見ても妃帥の考えが分かる訳でもないのに、妃帥の顔をジッと見下ろすしか出来ない俺の横に何時の間にか居た土師利大。


「…何が面白いのかしら?」

「だってえ女の子同士じゃ子供産まれませんよお?そっか妃帥さんってどうやって子供作るのか知らな、」

「セックスするんでしょう知っているわ」

「へえ知っているんだあ…あ、もしかしてあの女が遊んでいるから、もう子供なら誰の種でもいいって事ですかあ?」

「おい止めろよ唐堂はそんな事しない」
 
「えー鉄将さん知らないんですかあ?あの女の事」


 他のシンカンより比較的仲の良い鉄将が抗議をするが、土師利大はなんのそのと躱わす。