過つは彼の性、許すは我の心 参



「はあ?ミケなのに男と2人っきりで遊びに行ったの?」

「マサ誤解を招く様な言い方は、」

「事実でしょう」


 楽の嗜めに女の存在に辟易していた正照が腕を組んで睨め付ける。


「マサ…お前なあ」

「ミケとしてオオミカに恥をかかせかねない行動だろう」


 マサの口調は何時も以上に刺々しい言い方になっていて、原因が分かっているだけに俺も止める事が出来なかった、が。


「…男尊女卑も極まりけりね」


 妃帥の冷めた物言いに、マサの眉が跳ね上がる。


「…アンタの為に言ってるんだけど?」

「アンタの為ね…お兄様が逃避して私が死に掛けていた時に手を拱いてた貴方がそんな事を。成長したのねえ」

「っ…」


 馬鹿にした様な妃帥の言い方にマサはグッと堪えた。

 以前のマサなら言い返しただろうが、あの一件以降は感情的になる事が少なくなったと思う。

 ただ妃帥は「まあどうでもいいけれど、今更だしね」と言った。


「そもそも綴は誰のミケ?私のでしょう?」

「そう、だけど…そのミケを1人で守れないから」

「そうは言っても綴の危機を助けていたのは綴のお友達ばっかだものね、貴方達が役に立った事あるかしら」


 二の句を告げない様な妃帥の言い分に、流石のマサも黙らず得ない。

 これ以上妃帥には誰も言えないだろう。

 俺以外は。