「凌久返事は?」
「んー楽しそう」
妃帥は女に興味が無くなり、俺への返答もせず、窓辺に設置したらしい2人掛けの椅子に土師凌久と座りながら、携帯を覗き込んでいる。
「ふふ…楽しそうね」
「可愛いなあ」
ヘラヘラと笑っている印象しか無い土師凌久が、面映ゆい物を見る目で自身の携帯を眺めていた。
「この写真は保存出来るの?」
「出来る」
「じゃあ後でお兄様の携帯に送って頂戴」
「ええけど…隣に、」
「いいのよ」
妃帥もいつも以上に楽しそうで「何見ているんだ」と、鉄将も土師凌久の携帯を覗き込んだ。
「ここ…美術展か」
「ええそう」
スワイプしている土師凌久の横で鉄将が時々「おお」とか「スゲエ」とかありきたりな感想を言っていた。
察するに土師凌久の知り合いが美術展に行っているらしく、それを妃帥に見せているらしい。
溜息を吐いて、女に捕まる前に自分の部屋に戻ろうとした。
その瞬間、
「へえー唐堂楽しそうだな。この隣にいる奴は?」
唐堂と言うワードに踵を返した足が止まる。
しかも妃帥が、
「同じ中学出身の、今でも親しい付き合いしている別の学校の男性…だったかしら」
意味ありげにそう言った。
あの女や楽の声も止まり、静寂が部屋を支配する。
口火を切ったのは、



