過つは彼の性、許すは我の心 参



 鉄将と戻れば、いつもの談話室にはシンカン達が居て無論あの女も居たが、今日は珍しくーーー。


「ねえ誰か殺虫剤持って来てくれる?この辺羽音が煩くて」

「やだ妃帥さん自分の事、其処まで卑下しなくても〜」

「やっぱり害虫の言葉って理解出来ないわね。ね凌久」

「私も何言っているのかさっぱり分かんな〜い」

「俺は打つのに必死やさかい2人とも邪魔しいひんでくれ」


 嫌いな者は徹底的に視界に入れないか、排除するか、後は具合が悪くて伏せているかの妃帥が其処に居た。やや疲弊している他のシンカン達の顔を見るに、妃帥と女の口論がずっと続いていたんだろう。

 俺は溜息を吐きながら「…妃帥どうした朝から」と近くに寄ると、


「獅帥さ〜ん酷いんですよ私の事を除け者にして〜」


 先に女の方が俺に絡み付いて来て、上目遣いに俺を見上げる。

 この間俺にアレだけやられたのに。

 その肝の太さだけは賞賛するが、不快は不快なので近くに居た楽に視線を送った。


「はーい利大ちゃん止めようね」

「え〜何でリタ何も悪いことしてないしぃ」


 こう言う時は楽の存在が助かる。

 人を不快にさせずに適度に距離を保つから、周囲から悪印象を殆ど抱かれない。