頷いた私に「悪い…」と謝る坂本君に首を振った。
「私全然知らなかった…」
「家族ごとどっかに引越ししたから、葬式には同じ中学でも親しい奴らぐらいしか行かなかったらしいし…唐堂に敢えて伝えなかったのも、その同窓会が原因だと誰も思わなかっただろう」
「…」
「気にすんな。原因なんて分かっていたら自殺する奴なんていないだろう。それこそ家族や身近にいる奴らが止められただろうしさ…それが出来なかったって事は誰にも防ぎ様がなかった」
坂本君は「って結局伝えちゃった俺が言うのもなんだけど」と後ろ手に腕を組む。
「…ありがとう坂本君。気を使わせちゃったね」
「俺の方が悪かったよ、こう言う事何も考えずに言っちまうから、姉貴にも良く殴られる」
「そうなんだ」
「横暴だけど正論だから何にも言えねえの」
「なんか想像つくね」
「おい笑うなよ」
「ふふっ…ごめんごめん」
冷たくなった空気が暖かく瓦解して、肩の力が抜ける。
「唐堂は弟の方がしっかりしているもんなあ」
「えー酷い!これでも一応姉ですー!」
「お返しだお返し」
こんな話をしながらも、やっぱりユウナの事で頭が一杯だ。
獅帥君がユウナにぶつけた言葉の数々は心を抉るには十分過ぎるモノだったから、あの絶望し切ったユウナの心境を考えると…。



