「晴明さん、怖かった…!」

 泣きながら晴明を抱き締め返す咲妃。

身体の震えが晴明にも伝わる。

 「遅くなり、すまない。」

 晴明は咲妃を強く抱きしめ、彼女の背中に手を回して守るように覆う。

咲妃はその強さに安心し、胸が熱くなる。


一方、道満は怒りで目を血走らせ、叫んだ。

 「己れ、晴明ぇ!!!!」

 雷鳴とともに、道満は鬼の式神を次々と呼び寄せ、庭に集結させた。


闇の気配が一気に広がる。

 そのとき、笛の音が響き渡る。

 「咲妃殿!晴明!」