「晴明さん…本当?」

 晴明は布団に印を組み、陰陽の力で咲妃の腹痛を和らげる。


しばらくすると、咲妃の痛みはふっと和らいだ。



 「魔法みたい…」



 小さく笑う咲妃に、晴明は照れくさそうに目をそらし、低く言った。



 「その顔…誰にも見せてはならんぞ。」


そう言って、晴明は静かに寝室から去った。咲妃は呟く。


 「え?ひどくない…?」


 鈍感な咲妃には、晴明の恋心に気づくのはまだまだ先の話だった。