翌朝、晴明は普段どおり、けろっとして平常運転だった。



 咲妃は、昨日の自分の嫉妬心に気付かないふりをして、その日は依頼に着いていかなかった。



 晴明は訝しげに咲妃を見つめる。

「手がかりを見つけなくて良いのか?」

 咲妃はついカッとなり、口を尖らせて言った。

「晴明さんこそ、待っている女性がいるんじゃないですか?私のことは放っておいてください!」

 言い終えた瞬間、顔が真っ赤になり、咲妃は急いで部屋に駆け込み襖を閉めた。

襖の前で晴明が声をかける。

「咲妃、そなたは何か誤解しておる。 我はそなたの思いを汲もうとしただけなのだが…。」

 咲妃は慌てて言い訳を重ねる。

「えっと、ごめんなさい。そんなつもりじゃなくて!晴明さんが女遊びするのかな、ってちょっと思っただけで!あ、そうじゃなくて……!」

 襖をゆっくりと開け、顔を赤らめながら「言い過ぎました……ごめんなさい。」と謝る咲妃。