「……晴明っ!」

 博雅が駆け寄る。
 白衣が朱に染まり、晴明の背に深く裂けた傷があった。
 肩で息をしながら、それでも晴明は立っていた。
 その掌に、ひとつの札を握って。

「……これを……」

「喋るな! 血が――」

「これを……来世まで……繋いでくれ。」

 晴明の声は、月明かりのように儚く揺れた。
 その手の札には、見たことのない呪が刻まれている。