ピピピ…ピピピ…ピピピ…ピピピ…


 んぬぅ、うるさいな……

 朝…んー…まだ朝じゃない…たぶん、


ピピピ…ピピピ…ピピピ…ピピピ…


 昨日……夜…あいつと電話してそんで…そのままねちゃったのか、私

 ………ん???今日…なんか、なんかあった気がする。あれ…ってあ!!!!!!!!


「うぁぁあぁああぁああぁぁ!!!!!!!!!!!」


 いそげいそげ!!!!はやくしないと、”あいつ”に怒られるっ!!!!!!

「歯磨きおわり!!!服も…ここら辺にあるやつでよし!!!いそげーーー!!!」

 朝の支度をものの5分で終わらせた私は、玄関のドアから飛び出す。そこで待っていたのは……


「おいおせーーよ琴音(ことね)。」


 幼馴染の黒緋 結由(くろあけ ゆゆ)だった。


「結由ほんとごめん!!!寝坊です!!私のせいです!!殴って!!」

「いや流石になぐれねーよ」


 そう言って笑ってくれる結由は、どこかのお伽話の王子様みたいにかっこいい。

 一度も染められていない黒髪は太陽を反射してきれいに光り、目は切れ目にも関わらず小さく感じず、まつ毛も長い。鼻は高く、口元もきれい。

 本人はコンプレックスのようだが、焼けにくく色白な肌も相まって、王子様らしさが際立っている。