澪夏の墓に着くとたくさんの花や物が備えられていた。今でもこんなたくさんの人達に愛されているのを実感すると勝手に誇らしくなる。俺は道中の花屋さんで買った一本の白いユリを墓に添えた。
　帰り道、少し寄り道して帰ろうかと思ったその瞬間。______あの匂いだ。懐かしい、嗅いだことのある匂い。…澪夏。澪夏だ。この匂いは澪夏の…！
思わず俺は振り返った。そこに澪夏などいないのに。______いや、いる。なぜだろう。頭では澪夏など居ないと分かっているのに全身が澪夏だと言っている。気がつくと俺は走っていた。ただひたすら澪夏を求めて。
「三角公園…」
　澪夏とよく遊んでいた公園。こんなところまで辿り着いてしまった。もういい。止まれ俺の身体。澪夏は居ないんだ。疲れ切った俺の身体はその場に倒れ込んだ。