「凪冴くんしゃがみ込んでたけど大丈夫なの?」
「ああ。本当に、澪夏何だよな?」
「もちろん!正真正銘の澪夏だよ!お盆の時期だからかな。何でかわかんないけど今だけ人間?に戻れたんだよね〜」
 この喋り方。髪の毛を触ってしまう癖。澪夏だ。10年以上の付き合いの澪夏だ。
「澪夏…。これからどうやって過ごすんだ。家族の元へ帰るのか?」
「それは無理だよ。パパとママは私がもう死んだと思っている。ていうか事実だし。何なら凪冴くんも最初困惑してたじゃん(笑)だから何とかして1人で過ごすよ!」
「それは、ダメだ。何が起こるか分からないし仮に俺以外の知り合いと会ったらどうするんだ。そしてお前は今制服だ。高校生として補導されるだろ」
「それは…。気をつけるからさ。ね!」
「…。ていうかいつまで人間なの?ずっと人間でいられるわけねえよな。」
 自分でも驚くくらい俺は冷静だった。いや嘘だ。本当はめちゃくちゃ嬉しい。澪夏とまたこうして話せるなんて夢にも思ってなかった。
「わかんないけど1週間かな。そんな気が…ううん、絶対そうなの」
「1週間か…。澪夏、1週間俺と過ごそう。俺は一人暮らしで東京に住んでるし貯金もまあまあある。お前の好きなことやらせてあげるよ。」
 澪夏と一緒に過ごしたいがために俺は思わず提案してしまった。
「え!いいの!お言葉に甘えて!」
 そういって澪夏は俺に向けてはにかむような笑顔を見せてきた。懐かしいあの笑顔を。