そのような安易なものだったが、この安直さでバレたのか?

「なかなか面白くて、ついつい全部読んじゃったよ」

可笑しそうに言われ、思わず顔が真っ赤になる。

「こ⋯⋯この、ストーカー!」

「何言ってるんだよ。地元民で気付いてる人間は結構いるし、読者が増えりゃ、南だって嬉しいんじゃないのか?」

いけない。

狼狽してしまえば、相手の思う壺だ。

「アンタだって独身でしょ。独身女がひとりであれこれ楽しんで、何が悪いわけ?男は独身貴族で、女は売れ残りなんて、今の時代に言ったら、フルボッコにされるわよ?」

そこは流石に反論できないようだ。

「別にそんなこと思ってないけど。単にドレスが着たいわけ?」

「そうですよ、それが何か?」

「最近、うちの姉夫婦が個人経営の結婚式場を始めたんだけどさ。今度、初めてのブライダルフェアで、模擬挙式もやる予定なんだよ」

「模擬挙式?」