仕事の往復などで鉢合わせたときに、少し話す程度なので、中学を卒業してから今までのアンポリがどんな人生を送ってきたのかも、全く知らない。

移動の車中で、あれこれ話していたところ、アンポリは、県内で4番目ぐらいの進学校から、地元の国立大へ進学、そして市役所勤務⋯⋯という、まさに堅実コースだった。

「つまんない男だって思うだろ?あまりにも平凡すぎて」

珍しく、卑屈な言い方をされ、少し戸惑ったが、

「別に、思わないわよ」

その言葉に嘘はない。

「俺、本音を言うと、南が羨ましかった。子供の頃から、周りを気にせず自由に生きてるように見えたって言うか⋯⋯。もしかしたら、妬んでたのかも。自分には真似できないから」

まさか、アンポリが私を妬んでいたとは。

「そんな、人に妬まれるほど大したことは何もしてないけどね」

「妬み、はちょっと語弊があったな。うーん⋯⋯羨望ってところかな」