模擬挙式当日は、有り難いことに、清々しいほどの晴天だった。

迎えに来たアンポリの車は、気取らないコンパクトカーで、何となく彼らしいなと思う。

昔は、どことなく風変わりな子だったものの、仕事も公務員というあたり、堅実なタイプなのだろう。

私はというと、一度は都内の大企業に入社したが、どうも合わず、ボーナスをもらって即退社。

その後は塾講師に転職するも、毎日スーツを着ることに精神的圧迫を感じ、ずっとリゾートバイトで全国を転々としていた。

しかし、30を過ぎても、寅さんのように全国をフラフラして、気が向いた時だけ帰る暮らしをしていたところ、年老いた親から、

「無理に結婚しなくてもいい。孫も要らないから、もう少し落ち着いた暮らしをして頂戴⋯⋯」

泣きながら言われたので、今は、職場もアパートも、実家からそう遠くないところにある。

ゆえに、アンポリと再会したのも、割と最近のことだ。