ふと、足を止めてショーウインドーのウェディングドレスを眺める。

いいデザインだ。

着てみたいなぁ⋯⋯。

着てみたいが⋯⋯結婚はしたくない。

アラサーに突入した頃から親族に心配され、34歳になった今はもう、何も言われなくなった。

私は、とことんおひとりさまを満喫するタイプである。

とにかく、ひとりが大好き。

既にかなり、ソロで何でもチャレンジしてきた。

人付き合いが苦手なわけではないが、ベタベタした関係というのが、どうしてもダメなのだ。

プライベートでは、恋人不在、浅く広い付き合いの友人とも、年賀状を交換する程度の関係。

そのことを淋しいとは思わず、丁度いいと感じている。

元彼らとも、相手の束縛に耐えられずに別れてばかり。

こんな私が結婚などしたら、窒息死するだろう。

「何、うっとりとドレスに見惚れてんの?」

急に後ろから声をかけられ、ぎょっとして振り返る。