4月恒例の入学式も終わり、やっと学校生活が軌道に乗ってきた。
「そろそろ部活動を決めないといけないよね?何か部活動は決めた?」
そう中学からの友人である花音(かのん)に言われて、私は今まで溜めてきた想いをいつ実行に移そうかということを考えていた。
「私は高校からはバンドをやりたいなと思っていて、バンド部?を作ろうと思っているんだけど。」
そう言うと彼女はあっけにとられたような表情を見て私を見てから、
「それもいいんじゃない!美羽にしかできない事をやってみるといいと思う」
と案外反論もせずにアドバイスをしてくれた。かくいう彼女は中学の頃から続けているテニス部に入部するとのことだった。
バンドをやるといった反面、バンドメンバーすら集まっていない中で、どのようにバンドを始めたらいいのかということを迷いながら帰路に着いた。
そんな時、ふと路上で奏でていたベースの音に耳を奪われた。
ベースなのにベースではないような感覚、5弦ベースの彼だった。