「私はね、小さい頃にテレビでチアの大会を見てね、それでやってみようと思ったの。そこで隣の区にあるキッズチアのチームに入って一生懸命練習したの。テレビ局のイベントにも出たことがあるわ。中学校でも続けようと思って私立の中学校へ入ろうとしたの。だけどね……」
「いろいろと厳しかった、と」
「そうね。まあ、こればかりは仕方なかったわ。それでここの学校の近くにある中学校へと進んだの。新体操部に入ったけど、次第に胸と身長が大きくなってやりづらくなって……」
「……言いたいことが分かったよ。補欠のまま引退したと……」
俺がそう問いかけると、若林さんは無言でうなずく。
「智也が思っているとおりよ。高校こそはと思って私立高校を受けようと思ったの。だけど学費が心配だからと親に泣きつかれてね、それでここに入ったの。最初はチア部がないことにがっかりしたけど、クラスの担任の先生が『うちの学校はイベントが多いから、そっちで活躍してみたら』ってアドバイスをしてくれたの。そこで運動会を皮切りに文化祭、球技大会でクラスの応援をしたの。そうしたら、みんなが私のことを『勝利の女神』、『困ったときのチア真凛』と呼ぶようになったわ」
若林さんは笑顔を浮かべながら満足そうに話すと、天井に視線を向ける。
だけど、その話が俺とどう関わってくるのだろうか。
「それと俺がどうつながるんだよ」
「……私が応援すれば、あなたもきっと元気になる。そう考えたからよ」
若林さんはパイプ椅子から立ち上がると、手にポンポンを持って立ち上がる。
教室にある長テーブルを移動すると、俺の正面に立って腰に手を当てて胸を張る。
「それでは、今から智也……いえ、青葉君の応援を始めます」
「あ、ああ……」
「……元気がないわね。背筋がピンとなっていないわ。しっかりと背筋を伸ばして、返事は『はい』で!」
言われたとおりに背筋を伸ばし、それから「ハイ!」と答える。
(若林さん、笑顔になっているな)
……今、心の中でなんて言ったんだ?
さっきからずっと若林さんのことが気になっている。
女性のことを不安に思わなくなっている……いや、まさかな。
「いろいろと厳しかった、と」
「そうね。まあ、こればかりは仕方なかったわ。それでここの学校の近くにある中学校へと進んだの。新体操部に入ったけど、次第に胸と身長が大きくなってやりづらくなって……」
「……言いたいことが分かったよ。補欠のまま引退したと……」
俺がそう問いかけると、若林さんは無言でうなずく。
「智也が思っているとおりよ。高校こそはと思って私立高校を受けようと思ったの。だけど学費が心配だからと親に泣きつかれてね、それでここに入ったの。最初はチア部がないことにがっかりしたけど、クラスの担任の先生が『うちの学校はイベントが多いから、そっちで活躍してみたら』ってアドバイスをしてくれたの。そこで運動会を皮切りに文化祭、球技大会でクラスの応援をしたの。そうしたら、みんなが私のことを『勝利の女神』、『困ったときのチア真凛』と呼ぶようになったわ」
若林さんは笑顔を浮かべながら満足そうに話すと、天井に視線を向ける。
だけど、その話が俺とどう関わってくるのだろうか。
「それと俺がどうつながるんだよ」
「……私が応援すれば、あなたもきっと元気になる。そう考えたからよ」
若林さんはパイプ椅子から立ち上がると、手にポンポンを持って立ち上がる。
教室にある長テーブルを移動すると、俺の正面に立って腰に手を当てて胸を張る。
「それでは、今から智也……いえ、青葉君の応援を始めます」
「あ、ああ……」
「……元気がないわね。背筋がピンとなっていないわ。しっかりと背筋を伸ばして、返事は『はい』で!」
言われたとおりに背筋を伸ばし、それから「ハイ!」と答える。
(若林さん、笑顔になっているな)
……今、心の中でなんて言ったんだ?
さっきからずっと若林さんのことが気になっている。
女性のことを不安に思わなくなっている……いや、まさかな。
