「こっちを見ないってことは、向こうで何かあったのかしら」
「うっ……」
悔しいけど、若林さんの言うとおりだ。
幼なじみは俺を応援したくて、高校に入ってすぐにチアリーディング部へ入った。練習が大変だと何度も口にしたことさえあった。
それでも、彼女と時折会って話すだけでも幸せだった。サッカーを続けてきて、本当に良かった。そう思っていた。
しかし、そんな彼女が変わったのは夏休みが明けてからだ。
なんと、彼女はサッカー部の部長と付き合うようになった。しかも、俺を売ってまで。
俺は汚名を着せられ、いじめの対象となった。無実を訴えようとしても、教職員はサッカー部の部長とチアリーディング部の顔色をうかがうばかりだった。
サッカー部を辞めて部長に復讐しようと思ったことがあるけど、そんなことをしても幼なじみが戻ってくるわけがない。
結局、俺は自分の中で抱え込んだ。いじめにも耐えた。しかし、次第に耐えられずに俺はついに学校を休んだ。一週間、二週間と続き、二学期の中間試験が間近になる頃まで続いた。
担任の先生が学校にまた足を運んでくれと俺を説得したものの、一度芽生えた学校への不信感は簡単にぬぐえなかった。
そこで父さんが考えたのは、転職してまで川崎の街を去ることだった。しかも、父さんが生まれ育ったこの街に――。
今までのことを思い出すと、涙が頬を伝う。さっきあれだけ泣いたのに、まだこぼれ落ちるのだろうか。
俺は若林さんの顔を見ないようにしながらパイプ椅子に座ると、涙を振り絞った声で少しずつ口を開く。
「うっ……」
悔しいけど、若林さんの言うとおりだ。
幼なじみは俺を応援したくて、高校に入ってすぐにチアリーディング部へ入った。練習が大変だと何度も口にしたことさえあった。
それでも、彼女と時折会って話すだけでも幸せだった。サッカーを続けてきて、本当に良かった。そう思っていた。
しかし、そんな彼女が変わったのは夏休みが明けてからだ。
なんと、彼女はサッカー部の部長と付き合うようになった。しかも、俺を売ってまで。
俺は汚名を着せられ、いじめの対象となった。無実を訴えようとしても、教職員はサッカー部の部長とチアリーディング部の顔色をうかがうばかりだった。
サッカー部を辞めて部長に復讐しようと思ったことがあるけど、そんなことをしても幼なじみが戻ってくるわけがない。
結局、俺は自分の中で抱え込んだ。いじめにも耐えた。しかし、次第に耐えられずに俺はついに学校を休んだ。一週間、二週間と続き、二学期の中間試験が間近になる頃まで続いた。
担任の先生が学校にまた足を運んでくれと俺を説得したものの、一度芽生えた学校への不信感は簡単にぬぐえなかった。
そこで父さんが考えたのは、転職してまで川崎の街を去ることだった。しかも、父さんが生まれ育ったこの街に――。
今までのことを思い出すと、涙が頬を伝う。さっきあれだけ泣いたのに、まだこぼれ落ちるのだろうか。
俺は若林さんの顔を見ないようにしながらパイプ椅子に座ると、涙を振り絞った声で少しずつ口を開く。
