春。それは、出会いと別れの季節だ。
 それは俺、青葉智也も例外ではなかった。
 俺はサッカー漫画を読んで小学四年の頃からサッカーを始め、そのまま中学、高校と進んだ。
 しかし、高校で俺は不幸に巻き込まれた。どんなことがあったのかというと――。

『まもなく終点、仙台です』

 車内からアナウンスが流れると、向かいの席に座っていた母が俺に声をかける。

「智也、もうそろそろ着くから準備してね」

 俺は無言でうなずくと、手にしていたライトノベルの文庫本を閉じて立ち上がる。
 荷物一式を取り、そこに文庫本を押し込む。それから俺は誰にも聞こえないようにつぶやく。

「仙台、か」

 それから俺は少しだけため息をつく。

 ――もう、運動部はごめんだ。