魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】

初めて入るホストクラブは、落ち着いた照明に豪華なソファが印象的だった。

流れている音楽は意外にもクラシック。

そこかしこで、楽しそうな笑い声が広がっている。

私はエイイチロウにエスコートされるまま、奥のほうの席へと着いた。

どうしてもお酒は飲めないので、ウーロン茶で乾杯と行く。
一律5,250円なら、店にとってもありがたい客に違いない、なんて思いながら。

「エーイチローさん、ヘルプいります?」

「今はいいよ」

なんて目の前で繰り広げられているやり取りは、どこか遠い世界のもののようだ。

「で、こんなところまでわざわざ、ユリアは何しに来たのかな?」

ただ優しいだけのとってつけたような微笑みから、打って変わって。
声を落としたエイイチロウの瞳がきらりと光った。

「聞きにきたのよ。
テンマのことを」

私もぐっと声を落とす。

あちらからもこちらからも響き渡る一気飲みのコール。
そんな場所で場違いなことは分かっていた。


でも。
気になったらもう、後には引けない。