魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】

「……何?ジュノって死期まで見えるの……?」

私は乱暴にカップをソーサーに戻して、ぐいっとジュノの瞳を見た。
人気絶頂のアイドルのような柔らかい笑みを浮かべて、ジュノは頷く。

「あれ?ユリア様はそういうのって見えないの?」

私はぶるぶると首を振った。

はて、と、ジュノは急に真面目な顔になって首を傾げる。

「ユリア様、まだ転魔してないんだ?
そういえばなんだか老けた気がする……」

えーっと、16歳というピチピチの若者を捕まえてその発言は失礼すぎはしませんか?

私はむっとする。

「老けるわけないでしょー。オトナに近づいてるのっ」

そんな私の尖らせた唇なんて視線に入らないような真剣な視線で、ジュノが問う。

「ユリア様って、今いくつ?」

「16」

私もつられて数字だけ告げる。

「ねぇ、後4年の間に転魔しなきゃダメって、魔王様言ってなかった?」

ジュノが、声を潜めてそう言った。

テンマ。
天窓、じゃないわよね?
天馬……ペガサスのこと、でもなさそうな……。

はて?

私は記憶を辿ってみるが、その単語そのものに聞き覚えが無い。