「それより。
あの黒猫の正体及び対処法を教えてくれるって言ったじゃない」
私はシーツから顔だけ出して聞いた。
キョウは起き上がったまま、ひょいと私の頭を抱え上げ膝枕してくれる。
「教えてくれないと、泣くんだからっ」
ちょっと馬鹿の一つ覚えみたいな台詞は口にしたくなかったけれど、仕方が無い。
背に腹は変えられないのです。
「質問一、私の血を啜ったアイツを、私は捨てられないの?」
「別に、そんなことないよ」
……じゃあ、意味ありげに言うのは止めて下さい!
って喚こうかと思ったけど、止めた。
キョウが私の質問に答えてくれるなんて滅多に無いチャンスなのだ。
いつでも交わせる軽口なんかで、潰すわけにはいかない。
「質問二、アイツの正体は?」
「猫と吸血鬼のハーフ。
とはいえ、吸血鬼としての力はすこぶる弱い。
猫の姿が未だ子猫であるところも鑑みると、もう、これ以上の成長は望めないだろうな。
どちらにしても」
さらっと。
あまりにも軽くさらっと言うので、私はうっかり質問三、と続けそうになった。
「……それって」
キョウが僅かに切なそうな色を、一瞬その瞳に宿す。
「だから言いたく無いって言ったろ?
アイツがもうすぐ死ぬって言ったら、ユリアはきっと捨てるのを止めるだろうからな」
私は何かを言いかけて、でも、ぎゅっとシーツの下で拳を握り締めて耐えた。
あっさりと、死ぬなんて言葉を使うキョウのことが、許せないと思ってしまう。
だけど、このことで言い合っても、埒が明かないことは既に幾度も経験済みだった。
この価値感の違いだけは、多分一生埋められない。
キョウと私、いや、悪魔と人間では命に対する感覚が、違いすぎるのだ。
とても、残念なことなのだけど。
あの黒猫の正体及び対処法を教えてくれるって言ったじゃない」
私はシーツから顔だけ出して聞いた。
キョウは起き上がったまま、ひょいと私の頭を抱え上げ膝枕してくれる。
「教えてくれないと、泣くんだからっ」
ちょっと馬鹿の一つ覚えみたいな台詞は口にしたくなかったけれど、仕方が無い。
背に腹は変えられないのです。
「質問一、私の血を啜ったアイツを、私は捨てられないの?」
「別に、そんなことないよ」
……じゃあ、意味ありげに言うのは止めて下さい!
って喚こうかと思ったけど、止めた。
キョウが私の質問に答えてくれるなんて滅多に無いチャンスなのだ。
いつでも交わせる軽口なんかで、潰すわけにはいかない。
「質問二、アイツの正体は?」
「猫と吸血鬼のハーフ。
とはいえ、吸血鬼としての力はすこぶる弱い。
猫の姿が未だ子猫であるところも鑑みると、もう、これ以上の成長は望めないだろうな。
どちらにしても」
さらっと。
あまりにも軽くさらっと言うので、私はうっかり質問三、と続けそうになった。
「……それって」
キョウが僅かに切なそうな色を、一瞬その瞳に宿す。
「だから言いたく無いって言ったろ?
アイツがもうすぐ死ぬって言ったら、ユリアはきっと捨てるのを止めるだろうからな」
私は何かを言いかけて、でも、ぎゅっとシーツの下で拳を握り締めて耐えた。
あっさりと、死ぬなんて言葉を使うキョウのことが、許せないと思ってしまう。
だけど、このことで言い合っても、埒が明かないことは既に幾度も経験済みだった。
この価値感の違いだけは、多分一生埋められない。
キョウと私、いや、悪魔と人間では命に対する感覚が、違いすぎるのだ。
とても、残念なことなのだけど。


