魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】

私はもう一度枕を投げようと、今度はキョウの枕に手を伸ばす。
キョウは壁にもたれたまま、ウェーブのきいた黒髪をその手で軽くかきあげ、ついでに枕を取ろうとした私の腕を掴んだ。

そのまま、強い力で私を引き寄せた。
耳元に注がれる低い声。

「どうでもいいけど。ユリア、朝から俺のこと、誘ってる?」

……し、しまった。
私絶対に自分じゃ買わないほどセクシーなベビードール着せられてるんだった。

ホルターネックで、胸元のレースがゴージャス。
背中は大胆に開いていて、後ろでリボンが結べる仕様になっている。(私が眠るのに邪魔なので解いてあるけど)
丈は、マイクロミニですとも。

私は慌ててシーツを手繰り寄せる。

「誘われるならいつでも、応えてあげるけど?」

濡れた声で囁くキョウが私の顎をグイと持ち上げる。
黒い瞳は潤んだように艶めいていて、その紅い唇が今にも私に近づこうと……。

「今日は学校に行かなきゃいけないの、ダメに決まってるでしょう?」

私は無理矢理それから逃れてシーツの中に潜り込んだ。

「残念」

むしろ楽しそうに言うと、ぽんと軽くからかうように、シーツの上からキョウが私の頭を叩いた。