ジュノも続けて姿を消した。
これを見届けるためだけに呼び寄せたのかしら?

キョウに視線を送るが、後姿なのでその表情は窺えない。
その向こうにジャックの姿があった。
見た感じは、さっきまでと変わってないみたいなんだけど……?

「キョウさんっ。その……」

ジャックが唇を開く。
が、それを最後まで聞かずに、キョウは僅かに肩を竦めて言葉を発する。

「礼ならもう聞き飽きた」

そうして、ジャックから視線を逸らすついでと言った風に振り向いた。
初めて逢ったあの日から寸分も変わらない美貌で私を見る。

「ユリア、おいで」

いつものように差し伸べられた手。
それは、いつも、何も考えずにパブロフの犬のように握れる手なのに。

今の私には触れてはいけない、遠い世界のものに見えた。
ステージ上のアーティストとか、テレビの中の俳優に近い。
目には見えているけれど、手は触れられない存在。

ぼうとしていると、キョウの唇が僅かに歪む。

「早くおいで。
俺が機嫌を損ねる前に。
それとも、俺が迎えに行こうか?」

艶のある低い声で、初めて逢ったあの日、頭の中に響いたのと同じ台詞を繰り返す。


……まるで、デジャブ。