「キョ……」
名前を呼ぶことすら、駄目だというかのように。
一度解放した唇を、またすぐに食べに来る。
ねぇ、初めてプールに入ったとき、息継ぎが上手くできなくて苦しかったけど。今の方がその何倍も苦しいわ。
足りないのは、酸素だけじゃない気がする。
違う。
足りないんじゃなくて、溢れてるの。
言葉に出来ない想いが、苦しいくらいに胸の奥に満ちている。
それが、全身に満ちてきて指先から溢れちゃいそう。
そう思ったのと、キョウが私を抱き上げて人差し指を銜えたのは同時だった。
溢れている想いを飲み込んでくれているのかしら?
心地良い振動に身を任せながら、そんなご都合主義な妄想を噛み締める。
「ねぇ、キョウ」
「ん?」
返って来る声は、鼻にかかっていて柔らかな甘みを帯びている。
目に見えないはずなのに、もう。
その一声は私に、一粒の黒真珠の幻を見せる。
だから、言葉が続かない。
『マドンナ・リリーを待っている間って辛くないの?』
そんな分かりきったことを聞いて、艶やかな黒真珠に傷をつける権利なんて私にあるはずもない。
ふわりと、ベッドにこの身を置くのかと思ったら、キョウは自分ごとベッドに上がってその腕の中に私を抱き寄せた。
名前を呼ぶことすら、駄目だというかのように。
一度解放した唇を、またすぐに食べに来る。
ねぇ、初めてプールに入ったとき、息継ぎが上手くできなくて苦しかったけど。今の方がその何倍も苦しいわ。
足りないのは、酸素だけじゃない気がする。
違う。
足りないんじゃなくて、溢れてるの。
言葉に出来ない想いが、苦しいくらいに胸の奥に満ちている。
それが、全身に満ちてきて指先から溢れちゃいそう。
そう思ったのと、キョウが私を抱き上げて人差し指を銜えたのは同時だった。
溢れている想いを飲み込んでくれているのかしら?
心地良い振動に身を任せながら、そんなご都合主義な妄想を噛み締める。
「ねぇ、キョウ」
「ん?」
返って来る声は、鼻にかかっていて柔らかな甘みを帯びている。
目に見えないはずなのに、もう。
その一声は私に、一粒の黒真珠の幻を見せる。
だから、言葉が続かない。
『マドンナ・リリーを待っている間って辛くないの?』
そんな分かりきったことを聞いて、艶やかな黒真珠に傷をつける権利なんて私にあるはずもない。
ふわりと、ベッドにこの身を置くのかと思ったら、キョウは自分ごとベッドに上がってその腕の中に私を抱き寄せた。


