魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】

――本当は。

ちゃんと、お礼を言わなきゃって思ってた。
知らなかったこと、全部全部ごめんなさいって、感じてた。
記憶をなくした私のこと、諦めないで待っていてくれたことにも感謝してた。

そして、また逢えてこうして一緒に居られて嬉しいって……

本気で思ってるわよ。



でも。

その想いのどれを取っても、言葉にした瞬間につまらない陳腐な表現に成り下がってしまいそうで、口にすることが憚られる。

……なんて、多分。
  臆病者の言い訳だわ。

出会ってからずっと。
あまりにも一方的に愛されているから、私。
図に乗ってしまっちゃってるのかもしれない。


キョウ――って名前ですら本名でもなんでもないのに。
私なんてそう。
アナタに比べたら何一つ努力だってしてないのに。

どうして、今もそんな優しい瞳をこっちに向けて、甘い微笑が零せるの?


とっくの昔に、輪廻転生の輪に入った私は。
マドンナ・リリーの記憶すら放棄しているって言うのに。