魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】

あの人ごみをどうやって掻き分けたのか自分でも覚えてないのだけれど。
気づけば私はキョウの手を引っ張って駆け出していて、やたら近くで噴水に魅入っていた。

噴水ショウでここまで感激できるなんて、一体どんなに馬鹿げた街なの?

興奮もそのままに人々の波に流されてベラージオの中に入っていく。
入った瞬間、そこに広がるのはフロントなどではなく、カジノ。
つまり、スロットマシンがありえないほどたくさん並んでいるの!

スロットマシンを見て眩暈を覚えたのは生まれて初めてだわ。

スロットだけじゃない。
カードゲームやダイスゲームに興じている人たちだって居る。

「違法だけど、やってみる?」

キョウが私に聞いてくる。

「……違法って?」

あまりにも軽い口調で聞いてくるからうっかり聞き逃すところだったわ。
ま、その前に入国審査も受けずにアメリカに入っていること自体が違法ではあるのだけれど。

「21歳未満がカジノに入ることは禁じられてるんだ。
ネバダ州の法律でね」

……っていうか、それじゃ既に私違法じゃない?

「もちろん、ここはホテルだから入ること自体は違法じゃないよ。
でもま、日本人なんて30歳過ぎてもここじゃ20歳未満に見られることなんてざらだからさ。
少しくらい、大丈夫だと思うよ。
必要だったらここに偽造パスポートもあるし。ちゃんと21歳で作ってあるから大丈夫」

あのね。
私、確かに法律には詳しくないけれど偽造パスポートを所有すること自体が、もう、違法なんじゃないかしら?