「もういい。
賭けなんて、負けでいいからアレ、捨てて」
キョウは震える私の肩に手をかけたまま、愉快そうに笑った。
「負けでいいんだ?」
「結構です」
「拾ってきた動物は、保健所だったっけ?」
「はい、そこで結構です」
「でもさ」
キョウは笑いながら指を指した。
「戻っちゃったよ、元の姿に」
……私は恐る恐る振り返る。
バスローブの上に、少し不機嫌そうな黒猫が一匹。
それは、眼鏡越しに見てもただの黒猫にしか、見えなかった。
「……どういう、こと?」
私は首を傾げる。
「知りたい?」
キョウが、絶対に何かを企んでいることを全く隠さない顔で私の顔を覗き込んでくる。
うう。
これは、悪魔の表情だ。
いや、キョウは元来悪魔ではあるが。
悪戯を思いついた子供のような表情、と言えばいいのだろうか。
なんていうか「ただですむと思うなよ」って、その顔に書いてあるんだもん。
分かりやすいくらいに。
でも、聞いておかなきゃ……ダメよね?
それともやっぱり、私が今すぐこの生物を、そこの窓から投げつけてやろうかしら!?
いやいや、それはさすがに非人道的すぎるかしら。
ああ、頭が全然まとまらないんですけど?
賭けなんて、負けでいいからアレ、捨てて」
キョウは震える私の肩に手をかけたまま、愉快そうに笑った。
「負けでいいんだ?」
「結構です」
「拾ってきた動物は、保健所だったっけ?」
「はい、そこで結構です」
「でもさ」
キョウは笑いながら指を指した。
「戻っちゃったよ、元の姿に」
……私は恐る恐る振り返る。
バスローブの上に、少し不機嫌そうな黒猫が一匹。
それは、眼鏡越しに見てもただの黒猫にしか、見えなかった。
「……どういう、こと?」
私は首を傾げる。
「知りたい?」
キョウが、絶対に何かを企んでいることを全く隠さない顔で私の顔を覗き込んでくる。
うう。
これは、悪魔の表情だ。
いや、キョウは元来悪魔ではあるが。
悪戯を思いついた子供のような表情、と言えばいいのだろうか。
なんていうか「ただですむと思うなよ」って、その顔に書いてあるんだもん。
分かりやすいくらいに。
でも、聞いておかなきゃ……ダメよね?
それともやっぱり、私が今すぐこの生物を、そこの窓から投げつけてやろうかしら!?
いやいや、それはさすがに非人道的すぎるかしら。
ああ、頭が全然まとまらないんですけど?


