魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】

「それに、さっき1階で人が刺されたばっかりなのに、不謹慎だわ」

だいたい、エイイチロウさん、っていうかジュノ!
綾香について、警察にでも行ってるんじゃない?

あの、天然悪魔さん。大丈夫かしら。

なんて思っていたら、キョウが至極真面目な顔をして私を見る。

「ねぇ、ユリア。
最新の統計から計算すると、人は一秒平均1.9人死んでるんだよ。
そんなの気にしていたら、一生セックスなんて出来ないって。
それなのに、一秒で平均4.4人も増えてるの。
ま、つまり地球の人口は今この瞬間も毎秒2.5人ペースで増え続けている、というわけ。
ね?一回の射精で子供が出来る確率を十分の一だと仮定したとして、今この瞬間にどれほどの人がセ……」

私は、彼の美しい唇の動きを眺めつつ、これ以上言葉を聞くのを止めることにした。

う~ん。
声はとっても素敵なのに、残念だわ。
だいたい、統計学も、確率論も、性交渉について論じるための学問ではない、と思うのだけど。

「……でしょ?」

どうやら、長い講義がようやく終わったみたい。

私は口角を引き上げて笑顔を作り、諦めもせずにスカートの下に這ってくる彼の手を握る。

「ええ、そうね。
それはよーく分かったわ。
じゃあ、とりあえずその件については取り急ぎ、地球上の私たち以外の誰かに任せることにしましょうか?
統計的に見れば、私たち二人がどっちに転んでも誤差にすらならないんじゃなくて?
それよりも、綾香とジュノの様子を探るほうが先。
ね?」