「それは覚えてるんだ」
「それも覚えてるんですっ」
唇を尖らせる私の頬を、子猫でも可愛がるかのような甘い手つきでくすぐっていく。
「お帰り、ユリア」
ここは、私たちのマンションでもなんでもないのに。
お帰り、といわれると確かに帰ってきたような気分になる。
こうして、キョウの腕枕の中に居るだけで、自分の居場所に戻ってきたような安堵感と心地良さを感じていることに気がついて、心臓がキュンと甘い音を立てた。
「ただいま、キョウ」
私から重ねた唇は、何故かとてつもなくしっくりしているように、感じた。
とりあえず、舌を差し込まれないうちに素早く顔を放す。
「そんなに警戒しなくても」
キョウが私の髪を撫でる。
「だ、誰のせいで警戒してると思ってるのよ!」
彼が微笑んでいるのは、そのやりとりが懐かしいから、なのだろうか。
そう思ったのも、束の間。
「ユリア、警戒してもしなくても、襲うときには遠慮なく襲うから☆
意味ないよ」
「それって、本人に向かって直接言う言葉じゃないでしょ?」
「じゃ、周りの人に触れて歩けば良いってこと?」
「んなわけないじゃんっ!」
……だ、駄目だ。
逢って数分で、すっかりキョウのペースに流されている気しかしないわ、私。
気になることばかりなはずなのに、そのどれもこれもが、下らないそれでいて心地の良い会話のせいで、ふうわりと溶けていくかのようだった。
……そんなに簡単に、溶かしても良いかどうかは別として。
「それも覚えてるんですっ」
唇を尖らせる私の頬を、子猫でも可愛がるかのような甘い手つきでくすぐっていく。
「お帰り、ユリア」
ここは、私たちのマンションでもなんでもないのに。
お帰り、といわれると確かに帰ってきたような気分になる。
こうして、キョウの腕枕の中に居るだけで、自分の居場所に戻ってきたような安堵感と心地良さを感じていることに気がついて、心臓がキュンと甘い音を立てた。
「ただいま、キョウ」
私から重ねた唇は、何故かとてつもなくしっくりしているように、感じた。
とりあえず、舌を差し込まれないうちに素早く顔を放す。
「そんなに警戒しなくても」
キョウが私の髪を撫でる。
「だ、誰のせいで警戒してると思ってるのよ!」
彼が微笑んでいるのは、そのやりとりが懐かしいから、なのだろうか。
そう思ったのも、束の間。
「ユリア、警戒してもしなくても、襲うときには遠慮なく襲うから☆
意味ないよ」
「それって、本人に向かって直接言う言葉じゃないでしょ?」
「じゃ、周りの人に触れて歩けば良いってこと?」
「んなわけないじゃんっ!」
……だ、駄目だ。
逢って数分で、すっかりキョウのペースに流されている気しかしないわ、私。
気になることばかりなはずなのに、そのどれもこれもが、下らないそれでいて心地の良い会話のせいで、ふうわりと溶けていくかのようだった。
……そんなに簡単に、溶かしても良いかどうかは別として。


