あ、あれ?
急に目の前が真っ暗になりましたけど?
「ユリア、あっさり術にかかってる」
耳元で、呆れたようなキョウの声。
「え?」
直後、パチン、とキョウの指先が鳴った。
そっと私の目を覆っていたキョウの手が離れる。
そこには、物悲しそうな青年など居なくって、金髪王子が不敵そうな笑みを浮かべて立っていた。サファイア色の瞳すら、横柄な色を帯びているように見える。
「……あれ?
どうしてかからないの?」
にっこりと、無邪気という言葉がぴったりな笑みを浮かべて、王子がキョウに問う。
「お前に答える義務は無い」
不機嫌そうに言うと、私から手を放す。
そして、再びぱちりと指を鳴らし、どこからともなく取り出したちょっとおしゃれなメガネを私にかけてくれた。
「……え?」
私は目を疑う。
その、メガネ越しに見た彼には。
おぞましいほど長い、二本の牙がにょきりと口から生えていたのだ。
八重歯、なんていう可愛いものではない。
そして、その爪も不自然にとがっている。耳さえ。
「きゃぁあああっ」
私はジェットコースターに乗っている子供のような悲鳴をあげて、キョウの胸にしがみついた。
もう、さっき不機嫌だったことだってどっかに飛んで行っちゃったわよ。
っていうかさ、最初から。
こうしてくれれば話は早かったんじゃないかな、とも、思うけど。
急に目の前が真っ暗になりましたけど?
「ユリア、あっさり術にかかってる」
耳元で、呆れたようなキョウの声。
「え?」
直後、パチン、とキョウの指先が鳴った。
そっと私の目を覆っていたキョウの手が離れる。
そこには、物悲しそうな青年など居なくって、金髪王子が不敵そうな笑みを浮かべて立っていた。サファイア色の瞳すら、横柄な色を帯びているように見える。
「……あれ?
どうしてかからないの?」
にっこりと、無邪気という言葉がぴったりな笑みを浮かべて、王子がキョウに問う。
「お前に答える義務は無い」
不機嫌そうに言うと、私から手を放す。
そして、再びぱちりと指を鳴らし、どこからともなく取り出したちょっとおしゃれなメガネを私にかけてくれた。
「……え?」
私は目を疑う。
その、メガネ越しに見た彼には。
おぞましいほど長い、二本の牙がにょきりと口から生えていたのだ。
八重歯、なんていう可愛いものではない。
そして、その爪も不自然にとがっている。耳さえ。
「きゃぁあああっ」
私はジェットコースターに乗っている子供のような悲鳴をあげて、キョウの胸にしがみついた。
もう、さっき不機嫌だったことだってどっかに飛んで行っちゃったわよ。
っていうかさ、最初から。
こうしてくれれば話は早かったんじゃないかな、とも、思うけど。


