魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】

私の物問いたげな視線に気づいたのだろう。
神様は、美しい以外に表現のしようがないような完璧なフェイスに、黄金比率でも計算しつくしたのかと突っ込みたくなるくらいの優美な笑みを浮かべている。

「そっかー。
まだ、思い出せないんだっけ?
君の、恋人。
ほら、さっき綺麗な声で歌ってたじゃない?
っていうか、まだ泣いてるし」

言われてようやく気づく。
私は慌てて濡れている頬を手の甲で拭う。

でも、私はどうして泣いていたのか。
自分でもまるで分からない。

完成していないといけないジグソーパズルが、ところどころ何片か抜け落ちているような、気持ち悪いアンバランスな感じが身体のなかをもぞもぞと這って行く。

神様は、エレベータを降りてホテルの一室へと入った。
私とジャックもそれに続く。

部屋に入って扉を閉めた瞬間。

「ここで、いいです」

と。
まるでタクシーを降りるときの乗客かと思うような台詞を、ジャックが吐いた。

何、どういうこと?

私が口を開くのを制して神様が指を上げた。

「そう。
ここでいいんだ」

ここってどこよ?
このホテルの部屋のこと?

話の見えない私は一人、二人の顔を交互に見る。


で、交互に見て気づいたんだけど二人とも甲乙つけがたいほどの美形だわー。