はっと息を呑んだと同時に、店のどこかから綺麗な男性ボーカルの唄が流れてきた。
生声だ。
唐突に突きつけられた美しい歌声に、一瞬、店内の時が止まる。
前奏もなく始まったそれは、どこかで聞いたことがあるようなおごそかなメロディだった。
低い声が優しく空気を振動させて、世の中の全てを包み込み浄化していく。
歌声だけで、世界が変わるような錯覚にすら包まれた。
やがて、そのアカペラにピアノの音が伴いますます音楽に広がりが出てくる。
優しい声音が私の鼓膜を震わせる。
……あれ?
私、泣いてるの?
その答えを考える間もなく、誰かが私を抱き寄せた。
直後。
ぐさり、と。
非日常的な音がして、素敵な音楽を台無しにするような男の呻き声があたりを覆った。
「アヤカちゃんっ」
エイイチロウさんが、慌てて立ち上がりアヤカを捕まえた。
その手には、ナイフが握られている。
血に染まった、ナイフだ。
脂ぎったおっさんが、胸の辺りから血をぽたぽたと流して蹲ってしまった。
脂ぎったおっさんからでも、脂じゃなくて血が流れるのね、なんて思う間もなく。
「きゃぁああっ」
派手な悲鳴をあげたのは、ウエイトレス。
「パトカーだ、いや、救急車を呼べー!!」
混乱を抱えたまま、思いつくままに口を開く男性従業員。
気づけば、あたりは大喧騒に包まれていた。
生声だ。
唐突に突きつけられた美しい歌声に、一瞬、店内の時が止まる。
前奏もなく始まったそれは、どこかで聞いたことがあるようなおごそかなメロディだった。
低い声が優しく空気を振動させて、世の中の全てを包み込み浄化していく。
歌声だけで、世界が変わるような錯覚にすら包まれた。
やがて、そのアカペラにピアノの音が伴いますます音楽に広がりが出てくる。
優しい声音が私の鼓膜を震わせる。
……あれ?
私、泣いてるの?
その答えを考える間もなく、誰かが私を抱き寄せた。
直後。
ぐさり、と。
非日常的な音がして、素敵な音楽を台無しにするような男の呻き声があたりを覆った。
「アヤカちゃんっ」
エイイチロウさんが、慌てて立ち上がりアヤカを捕まえた。
その手には、ナイフが握られている。
血に染まった、ナイフだ。
脂ぎったおっさんが、胸の辺りから血をぽたぽたと流して蹲ってしまった。
脂ぎったおっさんからでも、脂じゃなくて血が流れるのね、なんて思う間もなく。
「きゃぁああっ」
派手な悲鳴をあげたのは、ウエイトレス。
「パトカーだ、いや、救急車を呼べー!!」
混乱を抱えたまま、思いつくままに口を開く男性従業員。
気づけば、あたりは大喧騒に包まれていた。


