「というわけで、そこのアナタ」
びしり、と。
私たち二人の会話を眺めていた、金髪王子様風の男に指を指す。
うっとりするほどかっこいい顔立ちとか、八頭身で顔が小さいーとか、いちいちそういうことを気にしちゃ駄目なときなんだ。
多分、今は。
「名前は?」
「×××××」
し、しまった。
また、聞き取れない。
いったい、魔界ってどういう仕組みになってるんだろう。
向こうの住人は日本語ぺらぺらなのに、こっちの人間には向こうの固有名詞がまるで分からないとは……。
不便だ、不便極まりない。
お願いだから人間界にふらりと現れるのは辞めて欲しい。
うー、キョウに聞きたい。
でも、ダメダメ。
「ま、名前なんてなくていいや。
ね、猫の姿に戻ってくれない?」
「そう、自由自在になれたらいいんだけどね」
ふ、と。
物悲しそうな息を吐く。
まるでサファイアのような青い瞳が、切なさを帯びて光った。
……あ、と思う。
そう、この切なそうな姿に思わずしゃがみこんだんだ。
少しだけ、怒りを忘れて初心に返る。
私に拾われなければこんな面倒に巻き込まれなくてすんだだろうに……。
ごめんね、っていう殊勝な気持ちにすらなった。
びしり、と。
私たち二人の会話を眺めていた、金髪王子様風の男に指を指す。
うっとりするほどかっこいい顔立ちとか、八頭身で顔が小さいーとか、いちいちそういうことを気にしちゃ駄目なときなんだ。
多分、今は。
「名前は?」
「×××××」
し、しまった。
また、聞き取れない。
いったい、魔界ってどういう仕組みになってるんだろう。
向こうの住人は日本語ぺらぺらなのに、こっちの人間には向こうの固有名詞がまるで分からないとは……。
不便だ、不便極まりない。
お願いだから人間界にふらりと現れるのは辞めて欲しい。
うー、キョウに聞きたい。
でも、ダメダメ。
「ま、名前なんてなくていいや。
ね、猫の姿に戻ってくれない?」
「そう、自由自在になれたらいいんだけどね」
ふ、と。
物悲しそうな息を吐く。
まるでサファイアのような青い瞳が、切なさを帯びて光った。
……あ、と思う。
そう、この切なそうな姿に思わずしゃがみこんだんだ。
少しだけ、怒りを忘れて初心に返る。
私に拾われなければこんな面倒に巻き込まれなくてすんだだろうに……。
ごめんね、っていう殊勝な気持ちにすらなった。


