「もういい、キョウのバカっ」
確かに私は美女じゃないけど、そりゃ自分でも分かっているけど。
そこまではっきり言われたら、腹も立つってもんだ。
突然声を荒げた私に、キョウは不思議そうに目をパチリと見開く。
「……何をそんなに怒ってるの?」
素で聞いてくるところが余計に腹が立つ。
ああ、生まれたときから見目麗しいお方は、そうで無い人の気持ちが微塵もわからないんですかねー。
べっつにいいけどさ。
だいたいさ、神様は不公平だ。
同じ生まれ変わりなら、私だってキョウ並に美形に作ってくれれば良かったのに。
ああ、でもそうか。
私を生まれ変わらせたのは神様で、キョウを生まれ変わらせたのは悪魔で。
うー、なんだかこんがらがってきたのでその件は棚上げ。
とにもかくにも、私は完全に拗ねてしまった。
ちょっとやそっとではこのご機嫌は直りそうに無い、多分。
「べーつーにっ。
分かったわよ、賭け続行って事で」
私は部屋の壁にかけてあるカレンダーの写真をびしりと指差す。
光り輝く金色が零れ落ちそうな、その夜景がどうしても私を誘っているのだ。
「私が勝ったら、あそこに連れて行って。
ブリュッセルのグラン・プラス」
「ベルギーでも、ブリュッセルだとフランス語なんだよね……」
珍しくキョウの口調が弱まる。
「へぇ、フランス語は苦手なんだ?」
いつもは絶対出てこないような、嫌な感じの言い方、私しちゃってる。
「ねぇ、ユリア。
何をそんなに怒って……」
「べーつーにっ。
賭け続行に気合を入れているだけよ。
いいわよ、どうせ元は黒猫なんでしょ?
少々金髪男に化けたからって、私、負けないわ」
キョウの言葉を遮って喋る。
だって、これで『私って美人じゃないんだー』って言って、『そんなことないよ』なんて慰められたらもう、立ち直れないほど惨めな気持ちになっちゃうこと請け合いじゃない。
それは、嫌。
気合を入れた私はずんと、仁王立ちしてみせる。
確かに私は美女じゃないけど、そりゃ自分でも分かっているけど。
そこまではっきり言われたら、腹も立つってもんだ。
突然声を荒げた私に、キョウは不思議そうに目をパチリと見開く。
「……何をそんなに怒ってるの?」
素で聞いてくるところが余計に腹が立つ。
ああ、生まれたときから見目麗しいお方は、そうで無い人の気持ちが微塵もわからないんですかねー。
べっつにいいけどさ。
だいたいさ、神様は不公平だ。
同じ生まれ変わりなら、私だってキョウ並に美形に作ってくれれば良かったのに。
ああ、でもそうか。
私を生まれ変わらせたのは神様で、キョウを生まれ変わらせたのは悪魔で。
うー、なんだかこんがらがってきたのでその件は棚上げ。
とにもかくにも、私は完全に拗ねてしまった。
ちょっとやそっとではこのご機嫌は直りそうに無い、多分。
「べーつーにっ。
分かったわよ、賭け続行って事で」
私は部屋の壁にかけてあるカレンダーの写真をびしりと指差す。
光り輝く金色が零れ落ちそうな、その夜景がどうしても私を誘っているのだ。
「私が勝ったら、あそこに連れて行って。
ブリュッセルのグラン・プラス」
「ベルギーでも、ブリュッセルだとフランス語なんだよね……」
珍しくキョウの口調が弱まる。
「へぇ、フランス語は苦手なんだ?」
いつもは絶対出てこないような、嫌な感じの言い方、私しちゃってる。
「ねぇ、ユリア。
何をそんなに怒って……」
「べーつーにっ。
賭け続行に気合を入れているだけよ。
いいわよ、どうせ元は黒猫なんでしょ?
少々金髪男に化けたからって、私、負けないわ」
キョウの言葉を遮って喋る。
だって、これで『私って美人じゃないんだー』って言って、『そんなことないよ』なんて慰められたらもう、立ち直れないほど惨めな気持ちになっちゃうこと請け合いじゃない。
それは、嫌。
気合を入れた私はずんと、仁王立ちしてみせる。


