魔王様!まさかアイツは吸血鬼?【恋人は魔王様‐X'mas Ver.‐】

「見合い?」

キランと。
噂好きの笑麗奈が瞳を輝かせたのは言うまでも無い。

「うん」

綾香が小声で言って、こくりと頷いた。

「どんな人?」

「それがね……。
写真なんて見せてくれないの。
でも、パパと同い年くらいの……その……
お金持ちなんだって。
私がその人と結婚さえすれば、全て上手く行くって言うから。
もう、しょうがないのかな……。
パパ、自殺しちゃったし……」

急に。
空気が重くなる。

しょうがないわけないよ!って、簡単に声を掛けてあげられたらどんなにいいだろう。
人の弱みにつけこんで、何をしようって言うのかしら。

私はまるで自分のことのように胸が苦しくなった。

胸が……苦しい……。

「ユリアちゃん?」

耳元で聞こえるのは、ジャックの声。

意識が、ぼう、とする。
急性アルコール中毒って、こんな感じなのかしら。

「ユリアちゃん、歩ける?」

それから、トイレで。
ジャックが私の喉の奥に指を突っ込んで吐かせてくれるという、なかなか出来ない体験をすませ。
私はぐったりと寝込んでしまった……

のだと思う。

残念ながら、この夜の私の記憶はすこぶる曖昧で、これ以上はお話できそうにないのです。